
こんにちは、さぷり(@supple_blog)です。
以前「薬膳マイスター」という資格を取得しました。その関係で家に乾燥紅花があり、何か作りたいなと思っているところでした。
折角なので記事にしようと思います(*^_^*)
紅花って虫除けに使われたり、食材に使われたり…食べるととっても身体に良い食材なんです。血液の流れを改善してくれるし、腸内環境を整えてくれるし…他にも沢山あるんですよ♪
紅花とは何かだけでなく、料理や商品も紹介して花の魅力を紹介します。

CONTENTS
紅花とは?
学名 | Carthamus tinctorius(カルタムス・ティンクトリス) |
分類 | キキョウ目キク科管状花族アザミ類ベニバナ属ベニバナ |
原産地 | 南西アジア・北アフリカ |
開花時期 | 5月から7月 |
花の色 | 黄色 → 赤橙色 → 紅色 |
別名 | 末摘花(すえつむはな/うえつむはな)、呉藍(くれあい)、久礼乃阿為(くれのあい)、safflower(英)、bastard saffron(英)、carthame(仏)他 |
耐寒性の一年草。秋に種をまき夏に花を咲かせます。咲き始めが黄色で徐々に赤橙色に変化し、最終的に紅色に変わります。
紅花の原産地
南西アジアが原産といわれ、特にエチオピアが有力と推測されていますが、詳細は不明です。
日本に伝来したのはいつ?
布を染める植物として飛鳥時代に伝来したという説と、推古天皇の時代に高麗から伝わったという説があり、後者が有力とされています。
平成元年、奈良県生駒郡の藤木古墳の石棺内に紅花の花粉と顔料らしきものが発見されました。その後、八世紀前半平城京跡の遺構から紅花の花粉が見つかっています。
紅花の様々な名前
呉藍(くれあい)
呉国(中国)から伝来した藍(当時は染料の総称)という意味で「紅(くれない)」の語源になった言葉といわれています。
久礼乃阿為(くれのあい)
万葉集に見られる くれない の和名です。
末摘花(うえつむはな・すえつむはな )
万葉集に見られる和名。平安時代の女性作家・紫式部が書いた「源氏物語」に登場する女性の通称です。(女性の「鼻が紅い」と紅花の「花が紅い」をかけている)
紅藍花(こうらんか)
紅花の漢名のひとつ。
古代に見る紅花
紅花は平安時代(918年)に編纂された日本現存最古の薬物辞典「本草和妙(ほんぞうわみょう)」には「久礼乃阿為 漢名 紅藍花(こうらんか)」と記述があります。
また、932年に編纂された分類体漢和対照辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」には「久礼乃阿為 漢名 紅藍花 俗名 紅花」と記述されています。

紅花の花言葉といわれ等について
紅花の花言葉
包容力、特別な人、愛する力、化粧、装い
魔除けとして
古代エジプトで赤色は「復活と永遠を願う色」として人々から尊ばれ、魔除けの意味のあることから化粧にも使われていました。
戦国大名の文書にも登場
天正5(1577)年の織田信長の文書にも紅花について記されているものがあります。また天正7(1579)年、出羽国の大名である最上義光が病気平癒を祈って湯殿山権現に奉納した物のひとつとも伝えられています。
紅花を詠んだ句
まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花
このの句は、松尾芭蕉が奥の細道の旅の途中、紅花の産地である山形を訪れた時に詠んだものです。

染料としての紅花の色
紅花にはサフロールイエロー(黄色)とカルサミン(紅)があります。
サフロールイエロー は紅花に含まれるほとんどの色素です。

逆にカルサミンは紅花に1%しか含まれない色素です。

この2つの色素は「色の三原色(シアン・マゼンタ・イエロー)」のうちの2つでもあります。ここに藍を加えることで三原色がすべて揃い、色味を調整することによって何通りもの色を生み出すことが出来ます。


紅花染の一例
朱華(はねず)

黄染(紅花の黄色の染料)に韓紅を重ねて染めたもの。鮮やかな朱色に近いオレンジがかった薄い赤色。
濃紅(こいくれない)/ 真紅・深紅(しんく)

黄染を3回、紅を8回 重ねて染めたもの。ややピンクがかった濃い赤。
一斤染(いっこんぞめ)

紅花一斤(いっきん)= 600gで絹一疋(二反)を染めた淡い紅色。ペールピンクに近い色味。
一反ってどのくらいの大きさ?
一反とは布地の大きさの単位のことで、大人の着物一着分が出来る大体の長さのことをいいます。
なぜ大体なのかというと、産地や種類、時代によって長さに違いがあるからです。
現在の一反の基準は幅が約36cm、長さが約12mとなっています。
韓紅

一斤染を3回繰り返し重ねて染めたもの 。濃い紅色(深紅)
二藍

藍に紅を掛け合わせて染めたもの。灰みの紫系の色。
韓紅の衣服は禁色だった

平安時代、韓紅(からくれない)は「禁色(きんじき)」とされ、一部の高貴な人しか着てはいけない色でした。
禁色とは
天皇以下公卿以上が、その身分の高さによって着用を定められた衣服(袍)の色のことです。下位の者の使用は禁じられていました。
ちなみに「一斤染(いっこんぞめ)」は「聴色(ゆるしのいろ)」とされ、女官や庶民も着ることができました。
虫除けに使われていた紅花
黄色 → 赤橙色 → 紅色 と変化する紅花の色素の中で、黄色には防虫効果があると確認されています。
1909年に発掘された紀元前2500年前のエジプトのミイラには、紅花(黄色)染めの布が巻きつけてあり、防虫対策が行われていました。
そして日本の正倉院に保存されている経巻の紙は、虫除けが目的で紅花染めがされていました。
油料としての紅花
紅花は種子からは植物油(サフラワー油)を搾油することが出来ます。
古代インドやエジプトでは油料作物としても栽培されていました。
紅花油は乾燥性が高く、日本ではペンキや印刷インクに混入する油料として使われていたこともありました。

現在、食用の紅花油には「 ハイリノールタイプ」と「 ハイオレイックタイプ」 の2種類があります。
最近ではリノール酸を多く含む「ハイリノールタイプ」は過剰摂取すると、動脈硬化やアレルギー、アトピー性皮膚炎などの原因となることが分かっており、オレイン酸を多く含む「ハイオレックタイプ」が主流になりつつあるようです。

紅花の品種

最上紅花
最上川流域で作られた山形特産の紅花。葉には鋭い棘があり花は小さめです。(剣葉種)
トゲなし紅花
品種改良によって作り出された品種で葉は丸く棘がありません。切り花に利用されます。(丸葉種)
白紅花
淡黄白な花色が特徴です。突然変異によって誕生した品種で、開花時期は最上紅花に比べると少し遅めです。切り花に利用されます。(剣葉種)
夏祭
平成21年に切り花向けの品種として育成された品種です。 花色は最上紅花と同じで小さめの花が咲きます。茎葉も小ぶりでしなやかなのが特徴です。
鉢物紅花
プランターや鉢での栽培が困難な紅花を改良して作られた品種です。県外からの観光客に「畑に行かなくても最上紅花を楽しんでもらえるように」と考案されました。花が多くボリューム感があるのが特徴です。
生薬としての効能

日本では「紅花(コウカ)」として生薬に使用されています。
効能
血液の流れを改善し、高血圧や狭心症、婦人病特有の血行障害による生理痛や、産後の腹痛などに効果があります。
紅花の種子に含まれるポリフェノール成分に血管年齢の改善、血中の悪玉コレステロールの減少が期待できます。
また頭痛にも効き、腸内環境を整え便秘を解消する効果もあります。
紅花の食べ方
乾燥紅花にはそのまま使えるものと下処理が必要なものがあります。
なぜ下処理が必要なのかというと、においを取り殺菌をするためです。商品裏面記載の注意事項等を確認して使用してください。
注意事項
子宮収縮作用や通経作用があるため、妊娠中の方は紅花を食べないようにしてください。
出血性疾患、消化性潰瘍、抗凝固剤を服用している方はかかりつけの医師に相談してください。
キク科のアレルギーを持っている方はアレルギー反応に気をつけてください。
紅花の下処理の仕方
- 紅花を80℃以上のお湯に1分間つける。
- ザルにあけ水洗いをして絞る(3~4回繰り返す)
- 酢やレモン汁をふりかけて乾燥が冷凍保存をする。
- 料理の度に必要な分だけ取り出して使用します。
紅花料理
紅花を使った料理を実際に作ってみたので紹介します。
紅花ご飯(2~3人前)

材料
・うるち米二合 ・乾燥紅花 大さじ1と1/2 ・おろし生姜 大さじ1
・水(米を炊く時の普段の分量) ・昆布つゆ 小さじ2 ・酒 大さじ2
・ほんだし 小さじ1
【薬味】・かつお節 ・万能ネギ ・醤油 ・千切りした生姜(各適量)
- 薬味以外の材料を全て入れご飯を炊く
- 炊きあがったら千切りした生姜を入れ混ぜる
※薬味はお好みで入れてください。

画像では長ネギを使っていますが、万能ねぎがおすすめです。
紅花ちらし寿司(4人前)

材料
・炊き立てのご飯 3合
【甘酢】・酢 大さじ4 ・塩 小さじ2 ・砂糖 大さじ4~5
・乾燥紅花 大さじ2 ・糸三つ葉 適量 ・お湯 適量
- ご飯を3合炊く。
- 糸三つ葉の葉と茎を分け、お湯をサッと掛けてからキッチンペーパーで拭く
- 茎は約1cmの間隔で細かく切り、葉と分けておく
- 乾燥紅花を水で洗いきつく絞る。色味を残したくない場合は80℃のお湯に2~3分つけた後、色素がなくなるまで洗って絞ること
- 甘酢の材料を全て混ぜ、そこに絞った紅花を入れ花びらをほぐす
- ご飯が炊きあがったらすぐにボウル(あれば寿司桶)に移し、5の甘酢を入れてしゃもじで切るようにして混ぜる
- 米に甘酢が馴染んだら糸三つ葉の茎を入れて、うちわで扇ぎながら混ぜる
- ご飯が冷めたら皿にご飯を盛り、糸三つ葉の葉を上から飾る


紅花入り長芋寒天 (4~5人前)

材料
・長芋300g ・粉寒天4g ・乾燥紅花 少々 ・水400cc ・砂糖80g
- 紅花は水洗いしきつく絞っておく。(下処理する場合は下処理の仕方を参照してください)
- 皮をむいて適当な大きさに切った長芋を水200ccと一緒にミキサーにかける。
- 鍋に残りの水と粉寒天と入れて沸騰させ、よく溶かす。砂糖を加えた後、ジュース状にした長芋と紅花を入れ、かき混ぜる。型に流し入れ、氷水などで冷やして固める

紅花長芋寒天は山形新聞のホームページから見つけました。詳しい作り方はこちらを参照してください。
実際の完成品は白い寒天だけど、紅花の色味を残したかったので黄色バージョンを作ってみました。紅花も多め。
ミキサーを出すのめんどくさかったのでおろし器(細)を使いました(^_^;)

初めて食べたけど美味しい♪
紅花茶

紅花1〜2グラムにお湯を180cc~250cc注ぎ、7~10分蒸らす。
ハブ茶やハトムギ茶など、お好きなハーブとブレンドして飲んでもOKです。
紅花茶を飲む場合は1日1杯程度を目安に飲みましょう。

紅花酒
紅花50〜60グラムに35℃の焼酎1.8Lと氷砂糖500gを入れます。2〜3ヶ月冷暗所で寝かせたあと、紅花の花びらを取り出します(ろ過)
飲み方はロックや水割り、お湯割り、炭酸水などお好みで。
紅花酒を飲む場合は1日大さじ1杯程度を目安に飲みましょう。

紅花関連商品について
乾燥紅花(紅花食用乱花)
紅花の花びらを乾燥させたもの。酒やスープに入れたり漬け物の色出しに使用したりします。お茶用も販売されています。
紅花蕎麦

創業明治24年の今福屋が販売する蕎麦。麺に紅花の花びらを練り込んで仕上げています。
今福屋のホームページはこちらからどうぞ
紅花染新田紅皿
紅花100%で作られた口紅。筆につける水加減で青みがかったピンクやローズ、真紅と色が変化します。
草花木果
紅花だけで作られた天然赤のリップグロスです。
紅花のクレンジングオイル
オレイン酸を含んだ紅花が主成分のクレンジングオイルです。
紅花を取り入れて心も身体も元気になろう!
紅花についての話しはいかがだったでしょうか?
花として人の目を楽しませてくれるだけでなく、染料や化粧品、生薬、油料、食品として色々な側面があることが分かります。
色んな側面を持っていて魅力的だと思いませんか?

紅花のある生活を始めると何か良いことが起こるかもしれませんよ♪
最後まで読んでいただきありがとうございました。